猫は母性本能が殊の外強くて
大きな人間の子も「子」と認識して優しく接するのだとか。
「おれ」も体の大きさではすっかり差がついても
ずっとずっと「あにき」。
だから「わすれていいから」は
もっとうんと大きくなれよって「おまえ」へのエールなんじゃないのかな。
閉ざされたドアから漏れる細い灯り
膝に乗れなかったのは「おまえ」の思春期のせい?
引っ越しのためであろう段ボール箱のマークにニヤリ。
青年になった「おまえ」と見る窓の外は夕焼け。
その静かな眩しさが少し淋しい。
一場面一場面が読み手にとっても
アルバムを繰るように進んでいきました。
「おれ」に伝えてあげたい。
新しい縄張りを見つけたって縄張りはひろがるだけ。
「おれたちのなわばり」はいつまでもなわばりのままだよって。