このシリーズは挿絵と装丁に惹かれ、ずっと読もう読もうと図書館で何度も借りながら、期限が来て読まずに返すことを繰り返していました。(読み聞かせの本と一緒に借りるから後回しになっちゃってたんですね)
正確に言うとこの1冊目だけは読んでその先に進めずにいました。今回2冊目以降を読んでノックアウト、やられました。竹下文子さん、あれだけ単発の絵本を沢山書いておられながら、この長編の構成力、なんというストーリーテラーでしょう。
1冊目しか読んでない人がいたら、ぜひ2冊目以降読んだ方がいいですよ?!
いいですか、皆さん。最初のこの1冊は人間の男の子、ケンの視点から始まりますが、実はこの先同じペースでケンとサンゴロウの交流がゆるゆると10話続く訳ではありません!
なんと、2冊目以降にケンはほぼ出てきません。サンゴロウもなんだかポン、と時間が飛んでて(間に何があったの?)と思わせますが、読み進めるとジェットコースターのようなハラハラドキドキの合間に段々分かっていく仕掛けです。
かといって、全部繋げて読まなくても1冊ずつはちゃんと独立した面白さがあります。なんなら途中の巻、順番間違えて読んでも、さほど差し支えありません!
中学年向けとなっていますが、サンゴロウの生き方のカッコ良さ、周りのねこ達のセリフには表れない感情など、もう少し上の年齢の方が受け取れるかなと思います。
私が1番お勧めしたい層は、どちらかというと本は苦手な6年生?中2くらいの子達です。分量としては手に取って読みやすい、なのにちゃんと中身が濃くて面白い、なかなか得がたいポジションの本だと思います。
【注意点】表紙も装丁もとてもよく似ているので、「サンゴロウ」シリーズと「サンゴロウ旅の続き」シリーズ、とても間違えやすいです。それぞれ1?5まであります。ご注意ください。なんなら通し番号で1?10にしてもらいたいです。
さらに姉妹編の「三日月島のテール」シリーズもあるそうで……こちらは岩崎書店刊の「ドルフィン・エクスプレス」シリーズを改名して出してるようです。秋の夜長の大人の楽しみが増えました。読ませて頂きます!