子供の頃、おせちのくわいが苦手だった。
芽がでるというのでおせちには欠かせないものだが、食べきれない。
だから、芽が出ないままおとなになったのかもしれないが、いつの頃からおいしく感じるようになった。
つまりは、くわいは大人の味なのだろう。
おせちにはどこか懐かしい思い出がある。
12月28日の朝日新聞「天声人語」で
「文と絵が内田有美さんの『おせち』という絵本が今、人気だそうだ」と紹介されたのが、
この絵本。
筆者が書いていたように「写真のような精密な絵にやさしい説明がつく」。
「黒豆、だて巻き、田作り。一品ずつ由来が浮かぶのは私が昭和の人間だからかも」と書いていたが、
それはおせちゆえの、あるいはお正月ゆえのことかもしれない。
ちなみに、この絵本でくわいにはこんな説明がつきます。
「たけのこ くわい/めがでてのびる/めのものたくさんいただいて/すくすくそだって/おおきくなあれ」
とにかくこの絵本の魅力はなんといっても、その絵。
写真ではないかと見間違いそうになる。だから、料理がとにかくおいしそうなのだ。
天声人語では「平成育ちの親と令和の子が一緒に学べるのも、人気の理由か」とあったが、
そこに昭和の祖父母がおせちにまつわる思い出話なんかをするのもいい。
お正月にはこの絵本を開きながら、
お重をのぞきこんで、これはこういう由来だったのかと話が弾みそうだ。