楽しいお話をたくさん作ってくれている富安陽子と大胆な筆遣いで個性を発揮している長谷川義史とのコラボレーションは強力です。
表紙をめくった見返しには、変な模様がたくさん並んでいます。なんだろうと思ってみていると「へ」という字であることに気がつきます。おまけに字の色は黄色です。おまけに、扉のタイトルの文字は、よめどんが出したおならのにおいのなかに書かれています。ここまでやられると、中身はもっとおもしろいに違いないと、この絵本を手にした人は思うに違いありません。
期待は裏切られず、「ブボン!」から始まった「へ」は、ものすごい音を立て、嵐がきたときのように、ばあさまはとなりの山の畑までとばされ、なぜか大根を一本引っこ抜いて戻ってきます。
この絵本を子どもたちに読むためには、「ブビンビ ボンボ」「ズズンポズポポン」などの「へ」の音を読むことをマスターしなければなりません。恥ずかしがってはいけません。あたかも自分がしているかのように自信をもって読んでほしいと思います。