安房直子コレクションの2です。
私が最も引かれたのは「海の館のひらめ」という作品。この作品は、他の作品集でも読んだことがあるのですが、エッセイの中にこの作品にこめた作者の思いが描かれていて、それを読んで子どもを思う親の気持ちを感じました。
「海の館のひらめ」の中にある「正直でまじめな人間がそんばかりしているのが、わたしには、がまんできませんねえ」という言葉。
作品を読んでいてとても気になる言葉でもあり、共感できる言葉でもありました。
安房さん自身、子どもさんが集団の中で傷ついて帰ってくることが多く「どんなに損をしても、正直で、まじめなのが一番いいのだ」ということを教えたかったということがあったようです。
この箇所を読んだだけでも、この本を読んでよかったなと思いましたし、とても嬉しく思いました。
日常空間へ異界への入口があるというような作品を多く残していますがどれもが秀作ではずれがないと思います。
安房直子の作品をもう一度系統だって読み直してみたいという方にお勧めです。
読んだ後、異界へ行って戻って来た感覚になりそうな作品集だと思います。