“the dot”(てん)を読んで、どうしてもこちらも読みたくなり、手に取りました。
一作目(主人公も異なり、続きのお話ではありませんが)同様に、「思い通りに描いてみればいいんだよ」というメッセージがこめられています。“the dot”(てん)は、白い紙を目の前にして何も描けなかった女の子が、先生の一言でどんどん「てん」の世界を広げていくお話ですが、“ish”(っぽい)のほうは、元々絵を描くのが大好きだったのに、自分の描いた絵を笑われ、自信をなくしてしまった男の子のお話です。
数学のように、「正しい」答えが1つではないにもかかわらず、どうやってその子の自由な表現を評価することができるでしょう?「正しい」絵などどこにも存在しません。なのに形や色で、「上手い」「下手」を決め付けてしまうのは、子どもの心の目を否定するようで、なんともやりきれない気持ちになります。
娘が、日本の幼稚園に体験入園したときに、特にそのことを強く感じました。女の子は、みんな同じような絵を描き、顔は「肌色」に塗り、太陽は赤・・・。なんだかスタンプを押したみたい、と思ったのを覚えています。
娘は、幼稚園の先生にも、「日本にはいないタイプ!」と言われたとおり、娘の描く絵もまた、「ぞうのエルマー」のように、いろんな色づかいで、様々な模様も加えられ、びっくりするくらいカラフルでユーモラスです。
入学と同時に、先生の評価でいろいろと思い悩みましたが、“the dot”との出会いによって、私自身の心を引き戻してもらい、さらに“ish”を読んで、この子らしさを大切に育んであげたいな、という思いが心の底からわきあがってきました。