読み終えて感じたのは、これを小学生が書き上げたとは思えないってこと。
言葉の言い回しが、状況の描写が、気持ちの表現力が、素晴らしい。
「小学生が書いた小説」という興味本位から、どの程度のレベルなのだろうと
さらっと目を通す程度の気持ちで手にした一冊でしたが、読み進めるにつれ、
小学生が書いたかどうかなんて関係なく、楽しみながら読んでいる自分がいました。
でも内容は、やっぱり現役小学生でしか描くことの出来ない世界が広がっていて、
これは大人には決して書くことの出来ない小説だなと思い知らされました。
大人が読めば懐かしさが込み上げ、子供達が読めばきっと共感が得られる、
そんな作品です。
第1章にあたる「ヘチマと僕と、そしてハヤ」は、「第二回12歳の文学賞」の大賞受賞作品。
そして、第2章、第3章にあたる「とびら」「それからの、僕らの空」は受賞作で、
「ヘチマと僕と、そしてハヤ」の続編であり、長編の3部作となっています。
これが作家デビューとなった、三船恭太郎くん。
彼の才能には、ただただ驚愕し、感心するばかりです。