とびきり愉快なお話という触書に惹かれて読んだのですが、愉快というより心がキュンとなってしまったのが最初の読後感でした。
立派な家があって、マリーというおんなのこと、家の隅にはネズミのおんなのこが住んでいるシーンから物語は始まります。
アメリカンタイプの真中に玄関がある家で、左端の2階の窓からマリーが、1階の右端の窓からネズミのおんなのこが顔をのぞかせています。
最初のページから精緻に描かれた絵に圧倒されてしまいます。
左側にマリーとその一家、右側にネズミのおんなのことその一家が対比して描かれていくのですが、同様に家族団欒や学校生活があって見るだけでほのぼのとした気持ちになりました。
そして、あることがきっかけで、マリーとネズミのおんなのこは、お互いの存在に気づくのですが、両親から注意されていたので、お互いに内緒のまま時は流れます。
その関係は、時と場所を変え娘達に受け継がれていくのですが、最後にある意味サプライズがあるのです。
子供の頃って、内緒にしたいことって必ずあると思います。
それが、娘の代でもあるなんて、その練られたストーリーの素晴らしさに感動せずにはいられませんでした。
その最初の出会いなんて、特筆もので、子供にとって憧れに近い気持ちを抱かせるのではないでしょうか。
ストーリー、絵とも文句なしにオススメできる作品です。
それにしても、家も調度品もため息が出るくらい立派なもの。
日本の住宅事情からすると望むべくないかも知れません。