子どもだったメアリーが、お母さんになるまで。
随分長い年月です。
でも、自分を振り返ってみれば、アッという間という気も。
メアリーがある日、食器のお片づけという日常のお手伝いをしていた瞬間から、同じようにカテラリーを落としたネズミと、運命を共にしていたのでしょう。
いつか、出会う運命。
同じように家に住み、同じように学校へ行き、同じように独立し、同じように娘を産む、なんて素敵な一致でしょう。
娘たちがの習慣は、同じように寝る前に本を読むことだったことも、決して偶然ではなく、運命で出会うべくして会ったのだと、思えます。
なぜなら、これだけの時を乗り越えて、やっと、「おやすみ!」の言葉を交わすことが出来たのですから。
ようやくたどりついた、娘たちの出会いは、ここがスタートなのだとさえ思わされます。
これだけ緻密に用意されてきた全ページは、その後の展開の想像を支えるものだといえると思うのです。
やっと出会えたこの先どうなるか、読む人それぞれにその後の世界が自由に空想できるのは素敵です。
すぐにお友達になっていたら、ずっとずっと「ないしょ」できた秘密の力は読者に働かないのではないでしょうか。
読者だけが見られる2人(一人と一匹)の共通点、子ども達に読み聞かせた時も、色々発見があってとても楽しんでいました。
授業で習うことが、娘たちの時代には変化していること、学校へ行く服装も、かばんまで、共通点があること。
子どもたちの目は、どんなところまでも見逃しません。
原文も、Mary and the Mouse The Mouse and the Maryが、鏡のように表紙にクルッと素敵に描かれているところが良いですが、「ないしょ」という邦題も、なかなか味があっていいと思いました。
英語で読み聞かせたときもまた、繰返しにもなっていて子ども達も聞きやすいようで、絵の魅力、文の魅力、そしてなによりこの内容、娘が大人になったとき、私と読んだ事覚えていてくれますように、と思わずにいられません。
私も娘と、なにかこんなふうなつながりを持ちたいな、と夢広がる一冊でした。