読書感想文全国コンクール小学校高学年の部課題図書。
南アフリカのアパルトヘイトを扱った作品だと知っていたので、
少し身構えて読み始めましたが、主人公の疑問という形での
問題提起は共感でき、一種の冒険物語のような勢いで、
一気に読み終えることができました。
13歳のナレディと9歳のティロは、赤ちゃんの妹の病状が悪いので、
遠いヨハネスブルクに出稼ぎに行っている母親を呼びに出かけます。
この姉弟の視点で話が進むので、とても共感しやすかったです。
ナレディの家庭の状況、旅の行程での様々な体験。
ナレディと一緒に考えさせられます。
あとがきで訳者も書いていますが、気付きの大切さを思います。
特に、差別というものは、意外に自覚がないことが多いからです。
人種隔離政策アパルトヘイトについては、私も多少知っていたつもりでしたが、
ナレディと一緒にその現実について体感できたように思いました。
作者の実体験がよく盛り込まれているように感じました。
そして、もうひとつ、ナレディの行動力。
だからこそ、多くの援助者との出会いがあったと思います。
そして、ラストは未来への抱負が見事です。
折しもアメリカで初の黒人大統領が誕生したばかりですから、
実にタイムリーな選書ですよね。
小学校高学年なら、きっと共感できると思います。