こころをもったピアノが語ってくれた、ピアノが見た夢のお話です。
見開き2ページの工藤直子さんの優しくかつ逞しい詩に導かれるように、やはり見開き2ページに繊細かつ骨太のあべ弘士さんの絵が描かれています。
夢みるピアノは「ごつごつ」しています。「ごつごつ」していると、堅物で頑固な感じがしますが、そうじゃないんですね。そのことを風が教えてくれます「あんたは ごつごつしているとけれど やさしい森のにおいがするね」と。
ピアノは、お祭りの夢や、音符が人々にふりそそぐ夢や、花かごになる夢など、弾き手の奏でる曲によって、いろいろな夢を見るようになります。
あたなのピアノは、夢を見ますか。
ピアノを弾くのが大好きな人はもちろん、ちょっと苦手だな、練習するのはきらいだなという人も、もう一度、ピアノを弾いてみてください。そんな難しく考えなくて良いのです。一音でも構いません。思いをこめて弾いてみてください。
どんな音がしましたか。その音があなたのピアノに夢を見させるのです。どうか、あなたの心のままに弾いてあげてください。ピアノはきっと喜んでくれるでしょう。
ピアノが好きな人はもちろん、ピアノとどうつきあえば良いのかわからなくなってそまった人にも、読んでもらいた一冊です。