おばあさんが亡くなって、ひとりぼっちになってしまったおじいさん。なにをする元気もなく、何日もが過ぎていきます。でも、ある朝目覚めたおじいさんは、おばあさんの作ってくれたおだんごスープが飲みたくなり、自分で作ってみようと思い立ちます。
初めは一番小さなお鍋を使って、おばあさんが作るときにいつも歌っていた歌を思い出しながら作ります。出来上がった頃には、かわいいお客さんが…おじいさんは一緒にスープを味わいますが、なぜかおばあさんの作るスープの味にはなりません。
次の日はもう少し大きな鍋で作ります。するとまた新しいお客さんがやってきます。翌日もお鍋が大きくなるのにつられるように、お客様が増えていきます。そしてとうとうおじいさんは、一番大きい鍋を使って、スープを作ります。するとまたドアの外で足音がして…、おじいさんはやっと懐かしいおばあさんのおだんごスープの味に再会することが出来るのです。
誰かのために何かをする喜びを、「おだんごスープ」を通して描かれています。人は誰かを支えているのと同時に、誰かによって支えられているのですね。絵本の前半、薄暗い部屋の中の枯れてしまった植物や床に転がった空き瓶に、おじいさんの孤独感がよく表現されています。そしてそれと対比的に、ページが進むにつれて輝きを増していく、おじいさんの表情に注目です。