「おやすみなさいおつきさま」を古典赤ちゃん絵本のベストセラーとすると、最近の作のベストセラーはこの作品と言えます。赤ちゃんや小さな子供に話しかける絵本は韻を踏む抑揚の美しい作品が好まれますが、この絵本も例外ではありません。シンプルで美しい韻と丁寧に描かれた動物の親子の描写が、お休み前の愛情のこもったささやかなひとときを包みます。
メム・フォックスはオーストラリアで読書促進活動などにいそしむ人気作家。彼女の作品は(米国では)その韻の美しさ、機知に富んだ文章ゆえに、教師や図書関係者を中心に人気があります。この作品も、子どもにわかりやすく、なおかつ英語の余韻にうっとりしてしまう言葉の力を備えた秀作です。水彩のイラストもきれい。
メム・フォックス作品は邦訳が難しいと思いますね。かえって邦訳しない方が、彼女本来の英語の美しさが味わえるとも思います。
言葉も絵も美しい絵本、おすすめします。