宮沢賢治の短編童話に絵が添えられています。
表紙の絵がかなりインパクトがあって、思わず手に取ってしまいました。
でも、まずはしっかりと宮沢賢治の文章の世界をしっかりと音読で味わってほしいです。
月夜の晩、恭一少年は線路横を歩いていて、不思議な光景を目にします。
シグナル柱のシグナルが下がったことを機に、
何と、電信柱が軍歌風の歌を歌いながら行軍始めたというのです。
「ドッテテドッテテ、ドッテテド」
独特の擬音が雰囲気を盛り上げてくれます。
そして出会ったおじいさんも、人間のようで、電気(!?)のようで。
当時の電気事情を体感できるようです。
しかも、通り過ぎるのは蒸気機関車。
本当は文章の持つ勢いで想像できるといいのでしょうけど、
やはり一時代前の情景だけに、このように少し絵で情景描写してもらえると
物語もつかみやすいと思います。
ディズニーの「ファンタジア」に出てくる魔法使いの弟子の
ホウキのような電信柱の行軍の様子は、
ちょっと、しばらく夢に出てきそうな迫力です。
見返しには、物語中に出てくる軍歌のような歌に宮沢賢治自身が作曲したといわれる
メロディーが楽譜で採譜されています。
難しそうですが、聞いてみたいです。
宮沢賢治作品の奥深さを痛感しました。