もとよりいせひでこさんの絵本がとても好きでこの絵本を読みました。
絵本1ページ1ページの絵がまるで息づいているように、生活観や、主人公の心情を伝えてきます。
主人公の少年は母親の死が原因で親戚の家で暮らすのですが、なかなか馴染めずにいました。そんな中、三本足の野良犬と出会います。
一人の少年と、1匹の犬の友情のお話です。
全体的な感想は、とても切ないと感じました。しかし、その切なさの中にどこか少年と三本足がまた『あの路』で駆け回っている情景が浮かびます。少年は学校に馴染めず、不登校になり三本足とばかり毎日遊んでいたのですが、自分の知らなかった三本足のことを知ってしまい、自分の見る世界が少し変わって見えてしまいます。まるで何かを落としてしまったかのように。
私はそのシーンに、少年の成長を見た気がしました。
夢みたいに三本足とずっと遊んで暮らしていたいと思っていた少年が、現実を目の前に突きつけられ、一人で歩いていく決意をします。
大人になって一人で歩き続けた少年は、三本足と三本足と一緒に歩いた『あの路』を思い、もっと先へと歩いていきます。
私はまだ大人というには若いのかもしれませんが、とても考えさせられ、とても感動しました。大人の方が読んでも、何か得るものがあるのではないかと思います。