【内容】
奈良時代〜現代まで、お風呂の形や入り方を絵で辿っていく絵本。
見開きいっぱいに当時のお風呂の様子が描かれ、簡単な文章が添えられている。だんだんと人々の様子や風呂釜の様子が変わって行く。暮らし方や技術、文化などがゆっくりと変わって行く様子が、ぼーっと眺めているだけでわかってくる一冊。
【感想】
やわらかく、温かい日本画のほんのりとした雰囲気に包まれ、まるで適温のお風呂にゆったりとつかっているような絵本。ぜひ体験してみてください。
昔、お風呂に入るのはとても大変だったようで、お寺や身分の高い人しか入れなかったらしい。庶民がお風呂に入れるようになったのは、江戸時代から。最初はサウナのような蒸し風呂で浴衣を着て入ったとか、男女混浴だったとか、今とはずいぶん違うのが面白い。特に印象に残ったのは、移動式のお風呂屋さん。船が銭湯になっていて出張して来たり、浴槽を運んで人のいる場所で商売したり。アイデアが素晴らしい。
昭和初期あたりの家庭のお風呂では、昔、実家で使っていた風呂釜があって懐かしかった。アパートを借りた時に使っていたバランス釜(昭和40年代だそうで)も、いろんな思い出を呼び覚まします。
この絵本は昔から現代に向かって進んでいきますが、逆に現代から昔に向かってページをめくっても楽しい。タイムスリップしていく感じが味わえます。どっちから読んでも楽しいという、珍しい絵本。
ふんわりした絵にも癒されます。お風呂で読んでもいいかも?大人にもぜひおススメしたい。