リンドグレーンの作品の中であまり知られていないこの作品。図書館でも閉架扱いだったので、当然絶版のように思っていました。
息子に読み聞かせ終わり、ナビでレビューと思ったら、この作品購入できるんですね。
ウミガラス島で過ごすことになったメルケルソン一家のお話です。パパは作家であまり生活力もなくどちらかというとたよりない感じ。でも、子どもたちを大切に思い大事にしていることが伝わってきます。
母の代わりをする19歳のマーリンを筆頭に島で暮らすきょうだいと、そのきょうだいを取り巻く島の子どもたちとの関わりがとても生き生きとして語られています。
中でも隣のお店の5歳のチョルベン。リンドグレーンのロッタちゃんやマディケンといった少女を彷彿とさせます。おてんばな子なのですが、物事の本質をわかっている女の子でとても好感が持てました。
リンドクレーンは、子どもの気持ちをとても丁寧に描き出すなあということがこの作品だけでも改めて感じることができました。
最初淡々とした感じで進行していきますし、登場人物が多いこともあり、息子の反応も今ひとつという感じだったのですが、100頁あたりを過ぎた頃でしょうか、とてもおもしろく感じてきたようです。
普通の生活の中にある冒険、生き生きとした出来事、自然の厳しさ、いいことばかりでなく悲しいこともおきますが、人生ってやっぱり素晴しい、人間っていいなあというしみじみとした感動がありました。
あまり知られていない作品だと思いますが、リンドクレーンに興味を持ったら一度は読んでほしい作品です。