『王様の耳はロバの耳』を岡田淳さんの世界で別の物語にしました。
『いばらひめ(眠り姫)』のエッセンスをちょっといただきながら、童話としては少しパンチが弱いようにも思いますが、王子様と床屋の娘の愛情物語と考えると、多少理屈っぽくは感じながら、感動的なお話です。
三人のばあさま(魔女、仙女もしくは妖精)が、子どもに恵まれない王様お妃様に力を貸します。
ところが、やっと授かった王子に捧げる言葉として、西にばあさまがうっかりと「王子様はロバの耳になるでしょう」と口走ってしまいました。
「人の言葉をしっかりと聞けるように」との意味をあわてて付け加えたのですが、王子様はロバの耳を持つことになってしまいます。
ロバの耳で育った王子様。
劣等化を隠し続けたものの、結婚相手を選ぶ年になった王子様は、床屋を呼んで髪を整え、お見合いをします。
みんながバカにしたり笑ったり、異形を見るような目をしたり…。
最後に姿ではなく、心を見る目をもった娘に出会うのでした。
流れとしては、中学年以上向かと思いました。
はたこうしろうさんの絵が、コミカルでスィーティ。
ウルフ・スタルクの作品を読み漁ってから、ファンになりました。