温暖化の影響なのか、最近の高温にしろ豪雨にしろ異常気象が頻発しているが、それでも私たちの国は四季に分かれて、その季節に沿った生活のありようが美しい。
それを活かした文芸といえば、やはり俳句ということになるのだろうか。
季語と呼ばれる季節の言葉をはめ込むことで、俳句の世界観は私たちに四季の素晴らしさを教えてくれているように思う。
そして、案外気がついていないかもしれないが、絵本という表現手段も四季の変化が作品の中に息づいている文学ということになるような気がする。
第25回ニッサン童話と絵本のグランプリ絵本大賞受賞作であるこの作品は「たいふう」をいう「天文」を描きながら、少年の細やかな感情を見事に描いている。
今日は金曜日。明日の土曜は家族で海に行く約束になっている男の子がいる。
しかし、どうも台風が来ているようだ。
学校は午後早くに下校、家に帰るとお父さんもお母さんも早めの準備で雨戸を閉めたり。
そして、夜。男の子の街に台風がやってきた。
強い風の音がする。ベッドにもぐりこんだ男の子は台風を吹き飛ばす大きなプロペラをつけた船に乗っている。
そして、朝にくる。
台風はどうなっていただろう。
白と黒で描かれた作品ながら、たった一カ所青い色が使われている。
それが最後のページ。
男の子が朝カーテンを開くと、青い空。
ほうら、どんな朝になっているか、わかりましたか。