エジプトというとピラミッドやスフィンクス、大昔に使われていた暗号のようなヒエログリフ。そんなイメージしかあたまにうかばない私には、「エジプトの民話」と言われても、いったいどんなお話かピンと来ませんでした。それどころか、エジプトに民話があるのか、と驚いてしまいました。まったく、失礼なことです。
どこの国のお話かを知って読むことも大切ですが、この本を手に取った子どもたちは、「エジプトの民話」という文字ではなく、表紙に描かれた?鳥(ガチョウ)たちに囲まれて、ちょっと困った顔をしているおじさんに興味と親しみをもつことでしょう。
「描かれた?」と書いたのは、実はこの本の絵は、すべて布なのです。さまざまな色の布を縫いあわせて作られています。どれもお話にぴったりの美しい挿絵になっています。
ちょっととぼけたゴハおじさんは、いろいろな出来事や事件をユーモアやとんちや切り抜け、勘違いですり抜けて行きます。どのお話も楽しいものばかり。小学校低学年から読めると思いますが、できることなら、読み聞かせや素話で、クラスのみんなで笑いながら聞いて欲しいものです。