漫画界で独自の世界を築きあげている高野文子が、絵本の世界へやってきました。『火打ち箱』(1996、フェリシモ出版)では見事な切り絵で新しいアンデルセンのお話を見せてくれましたが、今度は彼女がテキストを書き、絵を描いた絵本です。期待が高まるのも当然です。
全体的にほのぼのとした雰囲気で、色彩も豊か。作者がよろこんで作ったことが伝わってきて、子どもたちも安心して手に取れる絵本です。
子どもにとって、夜一人で寝るのは、ちょっと怖いこと。でも、実は、「しきぶとんさん」と「かけぶとんさん」と「まくらさん」に守られていると知ったら、もう怖くなんかありません。とにかく、「あさまで よろしく」頼んでおけば、良いのです。おねしょだって、つめたい手足だって、ころんで血のでたひざだって、おっかないゆめだって、みんなみんな、「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」と引き受けてくれるんですから。
この絵本さえあれば、どんな子どもも大丈夫。もう寝るのは怖くありません。きっと「おれに まかせろ」と言う声が、子どもたちの心のなかで響いていることでしょう。