主人公のテスは6歳の女の子。
そのテスが大切にしていたのが、175歳のテスの木です。
枝にブランコをつるし、木陰にテントを張ってキャンプし、落ち葉の布団にもぐったりと、テスはこの木が大好きという設定です。
その木が、嵐の夜に枝がおれてしまいます。
おかあさんは、中が腐っているから、倒れでもしたら大変と言って、テスの木を切ってしまうのです。
みなさんの意見には無かったのですが、私は、何故腐っていると決めつけてテスの木を切ってしまうのか、違和感を覚えました。
しっかりと季節毎に葉をつけている木なのに、強風で枝が折れたからと言って木が腐っていると判断するのは、あまりに早計と思えるのです。
木が倒れる心配があるのなら、切らないで、補強する方法だってあるはず。
テスの気持ち以前に、生きとし生けるものを思いやる気持ちという観点がそこに欠如している感じがしてなりませんでした。
その後の展開は、実に素晴らしいものです。
動物とか人の死を見つめる作品は多々ありますが、植物の死に対する行為を描いた作品は他には見たことがありません。
テスが葬式を行うと考えたこと、また、それに賛同して集まってくれた大人の行為、それにまつわるエピソードの数々等、良く練られたストーリーで、後半は納得できるものだと思います。
やはり残念なのは、木を切る行為に至る部分が、希薄だということ。
腐っていたから、切るしかなかったという風に丁寧な描写があれば、最高の作品と言えると思いました。