すごく印象的な表紙絵でした。
世界大国となったアメリカは多国籍民族国家ですが、だからこそ「膿」となっている部分はいろいろあります。
私の知っている南北戦争を取り扱った物語の多くは、「奴隷解放宣言」が行われた後の当事者たち
(奴隷としてアメリカに連れてこられた有色人種の人たち)
の暮らしがどう変わったのか、
その後どうなったのかまではなかなか語られていなかったような気がします。
この絵本の主人公『ソジャーナ・トゥルース』は奴隷として生まれ、
”自由”になれた後も、元奴隷だった人たちの自由と権利のために生涯語り継いだ実在の人物で、作者は彼女の生きざまに感銘を受けて、この絵本を作ったようです。
今の日本に住む子どもたちには、「奴隷」というものは漫画などで知る絵空事でしかないかもしれませんが、
昔(地域によっては今も)奴隷という人間扱いされない人たちがいて、その人たちはこんなひどい生活を強いられていたのだ、ということに触れることのできる素晴らしい絵本です。
低学年のお子さんにはまだ難しいかと思いますが、小学校高学年くらいから、中学生・高校生くらいのお子さんたちにぜひ読んでもらいたい1冊です。