『ふたりはともだち』は、アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズ第1作目で、長年にわたって子供から大人まで幅広く愛されている名作です。この絵本には、仲良しのかえるくんとがまくんが織りなす、笑えて、時には心温まる5つのストーリーが収録されています。
物語は、春が来たことを知らせるためにがまくんを起こしに行くかえるくんから始まります。「はるがきた」では、がまくんを外に連れ出そうとするかえるくんの機転と、がまくんの純朴さが可笑しくも愛おしい一幕を作り出しています。続く「おはなし」や「なくしたボタン」では、ふたりがどれほどお互いを大切に思っているかが描かれ、読者にあたたかい気持ちを与えます。
特に印象的なのは「おてがみ」のエピソード。がまくんが手紙をもらったことがなく、その到着を待つ様子は、かえるくんがかたつむりを使って内緒で手紙を送るという、ほほえましい筋書きです。この話は、手紙の持つ特別な力と、思いやりの大切さを教えてくれます。
シリーズが教科書にも採用されていることから、多くの子どもたちに親しまれている一方で、大人にとっても新しい発見や、子どもの頃の思い出を呼び起こす作品です。また、三木卓さんによる翻訳も素晴らしく、物語の魅力を一層引き立てています。
『ふたりはともだち』は、単に楽しい話を集めた絵本ではなく、友情の深さや日常の小さな幸せを見つめ直すきっかけを与えてくれる、すべての年代におすすめの一冊です。子供はもちろんのこと、大人もこの不朽の物語から多くを感じ取ることができるでしょう。