原題は『The Giving Tree』。
本田錦一郎さん訳『おおきな木』で読んでいたのですが、
村上春樹さん訳が出たので、早速比較して読んでみました。
あるおおきな木と少年の関係を、白黒の静かなトーンで描く、
なかなか深い味わいの作品です。
ひたすら少年に尽くす木の姿が、心に余韻を残します。
旧訳では、シンプルな訳出が男性的であったのに対し、
新訳は、原文で「彼女」と書かれてあることに忠実に、言葉遣いも女性的にされてあり、
母性的な印象がくっきり出ています。
また、旧訳が淡々とした表現であるのに対し、新訳は丁寧な語り、という印象を受けました。
ですから、また一味違った印象を受けました。
題名は、もう固定化されていたので、あえて新訳にはされなかったようですが、
村上さん流『The Giving Tree』の訳出も拝見したかったです。
ということで、私的には、新訳の方がしっくりするような気がしました。
内容的には、かなり奥が深いです。
じっくりと時間をかけて、何度も読み返すとまた違った印象になるのかもしれません。