先日、本田錦一郎さん訳の『おおきな木』を読みました。
新版として、村上春樹さんが訳されたものがあると知り、読み比べてみたくなりました。
この作品は、見返りを求めず“与え続ける木”のお話です。
本田さんの訳は、木が盲目的に与え続ける様子に、強いメッセージ性を感じ、男性のような印象を受けました。
一方の村上さんは、原作にならい、言葉遣いを女性のものにしたということで、ソフトで読みやすい印象を受けました。
“(見返りを求めず)与える”ということがよく伝わるのは本田さん、与えることで“木が感じている幸福感”がより伝わるのは村上さん、両者それぞれの魅力を感じました。
“与える”ということ。
読み返すたびに様々な思いが広がる作品です。
この木は、これからも人々に様々な思いを与え続けてくれることでしょう。