しあわせって、なんだろうね。
ひとりの人間として考えるとき、
まるで神さまの前で、素っ裸で説明しているようで、
あまりの不甲斐なさに気が遠くなる私です。
愛と、しあわせを知るいっぽんの木。
淡々と進む時のなかで、しあわせを追い求めるひとりの少年。
ふたりは互いに大好きなのに、しあわせはすれ違う。
読んでいる人をまきこんで、しあわせを考える。
このえほんには、影がない。
黒い線で描いたシェル氏の絵と、黒い線の文字と、白い紙。
その清々しい画面に、私は感動する。
ことばでは伝えられないしあわせを、身をもって示すいっぽんの木の
慈愛に満ちたすがたに、涙があふれます。
ただひとつ、シェル画伯が躊躇しただろうところに
胸をなでおろした私です・・・「なんてなれませんよね。」に。
永く読み続けられるよう努力を重ね続けるみなさんに
感謝、感謝、感謝です。