レビュー企画のせいか内容の良さか、爆発的なレビュー数につられて手にした絵本。
中身の濃さに納得です。
今にも息絶えそうなコブタ、自分が間もなく死ぬことも知らずコブタと対するオオカミ、そしてコブタとオオカミを見つめるシニガミさん。
このまま劇にしてもおかしくないメリハリのあるお話です。
気弱になったコブタは、オオカミのやさしさを受け入れつつ、自分の死を受け入れようとしています。
自分が死ぬことを知らぬオオカミは、活きのいいコブタを食べるためにまずは元気にさせるために家に連れ帰ります。
これは、オオカミにとっての手段でした。
おいしく食べるためにあの手この手を尽くすうちに、オオカミの気持ちが知らぬ間に思いやりに、愛情に変わって行く。
この設定に第三者が必要なのですね、シニガミさん。
とても美しい話です。
最後のシーン、コブタもオオカミも死ななくて良かったと思ったけれど、コブタとオオカミが天国で仲良く暮らしているようにも思えました。
だって、どうして助かったんだかわからないのですから。
どちらにしても最後のシーンがあるから、何度読んでも心に響く絵本です。
今回は、嫁さんの読み聞かせで私も聞き手に回りました。
余談ですが、『しにがみさん』(野村たかあき作)、『しにがみとばあさん』(鎌田暢子作)もお薦め。
シニガミってけっこう良い奴かもしれません。