「今昔物語」が絵本!
勇んで手に取り、読みました。
「狂言」が絵本になったものをたくさん楽しんで読みましたが、これもいけます。
中高生だって、古典の学習の際にイメージを描きやすそうです。
この作品は、「今昔物語集」の中から巻十六におさめられている「隠形男、依六角堂観音助顕身語」などの説話をもとに、新たに絵本として創作したものだそうです。
さて、お話は京の都にいた権大納言が主人公。
友人の陰陽師の家で、碁に夢中になるあまり帰宅の時間が遅れ、すっかり日が暮れてしまい、恐ろしげな鬼の集団と遭遇しそうになり、おつきの者たちと橋の下に隠れ、無事災難をやり過ごしたかに思いましたが、この大納言の女人好きの弱点をつかれ、・・・。
鬼の集団が、松明を掲げ橋を渡るシーンは迫力があります。
この時代、人間が外を出歩くべき時間帯でない時間に外にいた大納言の悲劇ですね。
当時は、人間界と異界の生き物の一線をしっかりひいた思想観があったことも窺われます。
鬼の吐いたつばがかかると姿が消されてしまういうストーリーに、「平安時代の透明人間のお話のようだね」と息子にもうけました。
ラストまで気の抜けない構成で、私も大人ながらドキドキさせられました。
ほりかわ先生の絵がこの作品にピッタリでした。