大きな木は、幼いちびっこのために根を張り、枝を振り、果実を実らせて博愛の精神で一人のちびっこをサポートしていく。
でも、大きな木はそれが「博愛」だとは思っていない。愛情には満ち溢れているけど、誰にでも与える愛ではなく、むしろちびっこの純粋さ、永遠の精神に愛情を与えているように思うのです。
ですから、この本をこれから読むお子さんもこの木は決して他人事ではなくて、あなたを愛する木だと思ったらお話がもっともっと素敵になるかもしれませんね。
教会のクリスマス会でこの本の紹介がありました。
私は国文科の出身で(小さな大学です)、絵本作家を目指していたので一瞬で虜(とりこ)になってしまいました。
しかし、そんな僕の予想は一瞬にして吹き飛んだのです。
木が誰からも愛されない、いや、ぼうやには愛されているのかもしれないけれど、利用されているだけなのかもしれない。
そんな中で大きな木は私たち人間のために精一杯成長し、必死に努力します。それでも、果実はすべて持っていかれ、枝は家屋の材料に使われ、木の幹(みき)は船を作るために持っていかれてしまう。そして優しい木は、最後は切り株になってしまう。。
それでも、ぼうやが老人になってその切り株に腰掛けたとき、心から「ぼうや、ありがとう」と言うのです。
私は病気のこともあり、涙が止まりませんでした。拭いても拭いても涙が溢れ出てくるのです。
私は仮にも大人の男性だから、子どもたちの前で醜態を見せたくなかった。だから、隠れてトイレに篭って号泣しました。
(僕は何に感動したのだろう。直感だけど、自分のあまりの醜さにだと思うよ。。)
美しい朝は、美しい自然とともにやってくる。
道は違えど、神様の住んだ大地と似た世界にわれわれは住んでいるんじゃないかなぁと思います。
世の中には怖いお話がいっぱいありますが、この本は心がポカポカして、ご家族、ご両親で楽しめる(愉快ではなく、心を突き刺す真実の矢です)作品だと思います。
ぜひ書店で手にとって、この物語の美しさ、壮大さを体感なさってください。