おやすみなさいおつきさま などでおなじみの マーガレット・ワイズ・ブラウン の作品。
身近にあるものを取り上げ、そのものの「あるがままの姿」が優しい詩的な文章で語られている。
ひなぎくにとってたいせつなのは、しろくあること
りんごにとってたいせつなのは たっぷりまるい ということ
そらにとってたいせつなことは いつもそこにある ということ
この本を買ったのは長女がまだ、2歳くらいの頃。
タイトルと絵の美しさにひかれて。
でも、読んでいて一番心が動いたのは私。
2歳と1歳の年子の育児に追われ、気がつくと1日が終わっている。
私は今日何をしたんだろう?
何を食べた? 笑った? 泣いた? どこへいった?
体力だけで走り続けていた私。自分の時間などなかった。
この本の最後はこう結ばれている。
あなたにとってたいせつなのは あなたが あなたで あること
心の糸をぴーんとはじかれた気がして涙があふれてきた。
こどもたちは心配している。ママ、どうして泣いているの?
そう、どうして泣いているんだろう?
あの頃、私の心のコップは常に満杯で、1滴でも水が落ちれば
たちまちあふれてしまう状態だった。
私が、私であること?
それからの私は、家事などをやりくりして、手抜きもちょっと覚えて
自分の時間を持つように努めていった。
この本はその後、子供達の手に取られることなく、長い間、眠っていた。
先日、1年生の長女が思い出したように取り出して、自分で読んでいた。
読み終えて、にっこりと笑った。
長女は、今、自分が自分であることに満足していて、毎日を精一杯楽しんでいるのだろう。
もう少し大きくなって、心のひだがもっと複雑になって・・・
迷ったり、悩んだり、立ち尽くしたりする日もやってくるだろう。
そんなとき、またこの本を開いて、心静かに自分と向き合って欲しい。
その日まで また この本は眠りに入るだろう。