図書館で背表紙のタイトルを見て、お話の筋を知っているのでやり過ごそうと思いましたが、表紙の穏やかなおじいさんの表情と可愛いこすずめに目を奪われ、はた先生の絵だということで借りてきました。
おばあさんが嫉妬する程おじいさんが愛おしむこすずめちゅんこ。
お約束通り洗濯糊を舐めて、舌を切られすずめのお宿に帰ってしまったちゅんこ。
おじいさんが、ちゅんこを捜し求めに行きます。
“おちゅん おちゅん したきりすずめ すずめの おやどは どこじゃいな”の台詞がとっても懐かしい。
母も「すずめの おやどは どこかいな〜?」と読んでくれましたっけ。
ホント 懐かしいなぁ〜。
ここで、これまで聞き知っていた内容にプラスされたくだりがあります。
ちゅんこに対するおじいさんのひたむきな愛情を表す、“試練”です。
すずめのお宿は何処か?と尋ねたおじいさんに、「〜をしたら教えてやる」という牛飼いや馬飼い。
へぇ〜、これは初めて聞くお話だ〜、と巻末の児童文学作家の千葉幹夫さんの解説を読み、改めてな〜るほど。
民間伝承当時、この試練は、とても不可能というものばかり他にもたくさんあるそうです。(ご一読を)
この後、ちゅんこに会えたおじいさんが歓待され宝物を持ち帰ったのを見たおばあさん。
お約束どおりの試練をものともせぬ凄まじさ。
とっても迫力があります。
この場面のはた先生の絵がユーモラスで素敵でした。
げに、欲深き者の姿は醜いですねぇ〜。
やまんばを髣髴とさせます。
もはやおじいさんの愛をこすずめごときに奪われてしまう女性の寂しさが、おばあさんを物欲に走らせちゃったのかな〜?
ちょっと悲しい。
お子さんだけではなく、読んであげる大人の方も改めて楽しめる作品です。