これは…悲劇です。
土神とは文字通り、土の神でしょうか?
土と木は、一心同体。
だったら土神が樺の木を愛したのは、自然なこと…
そして土神と同じように樺の木を愛したのは、きつねでした。
ふたりは、見た目も性格も正反対です。
共通点があるとすれば、孤独…でしょうか
まるで、光と闇。
土神は神だけど、いつも闇の中にいるように感じました。
土神には誰かを愛する純粋な心があるのに、その気持ちがなにかもわからず、苦しんで苦しんでもがいて傷ついて、心を無理に消そうと葛藤するのです。
切なくてもどかしくて寂しくて、もうどうにかなりそうで…土神は泣いて泣いて泣きました。
そんな土神を見て、胸が締め付けらる思いでした。
神様にもちゃんと心があるのです。感情があるのです。
土神を苦しめているのは、神様のプライドなんだと思います。
そしてきつねが自分よりもえらいのだと、またプライドが傷ついて…。
神様の気持ちや立場なんて、きっと誰にもわかりません。
でも土神は神でありながら、自分が本当は何者なのかわからなかったのです。
きつねも、とてもいい子でした。
樺の木の気を引こうと、たくさん本を読んだのではないでしょうか…
おしゃれをして、樺の木を喜ばせようと一生懸命だったのだと思います。
土神は正直者だったけど、素直ではなかった
きつねは正直者ではなかったけど、素直だった
…そしてとうとう心が壊れた神が、罪なき命を奪ったのです。
あまりにも、衝撃的な結末でした。