ぶたばあちゃんと孫娘は、長い間一緒に暮らしてきました。あるとき、ぶたばあちゃんは自分の死期を悟ります。その日が来るまでにやっておかねばならないことがたくさんありました。身の回りの整理を済ませたぶたばあちゃんは、孫娘とゆっくり町を散歩します。木の葉のきらめき、雲の流れ、水面の東屋、土のにおい…すべての自然をまぶたに焼きつけながら。そして迎えた最後の夜。ぶたばあちゃんと孫娘は抱き合って眠りました…。
悲しくて切ない、静かなおはなしです。見送る者、見送られる者の心を優しく描いています。最後のページで、ぶたばあちゃんが旅立った翌朝の孫娘の表情からたくさんの思いを受け取ったとき、こらえていた涙があふれてきました。全編を通じて淡い色彩と柔かな陰影がぶたばあちゃんと孫娘を包んでいます。人生の水辺を描いているように見える、見返しの色合いもすばらしいです。