あのジョン・バーニンガムの2010年の新作です。
しかも、絵は、妻であるヘレン・オクセンバリーが担当し、何とこれが初めての共作絵本。
訳は谷川俊太郎さんですから、期待は膨らみます。
物語は、ママがぼくに「あかちゃんがくるのよ」と言うシーンから始まります。
「いつ くるの?」
「なんて なまえにするの?」
「あかちゃんは なにに なるのかな?」
そんな質問を次から次へとママに投げかけるのですが、それは不安の裏返し。
ぼくはママと、いろんなところに一緒に出かけては、あかちゃんが何になるのか空想します。
時には、不安から
「ママァ、あかちゃんにくるなって いえないの?
うちには あかちゃんなんか いらないんじゃない?」
なんて発言もしたりします。
そして、だんだんママのお腹は大きくなっていくにつれ、次第にぼくの決意は固まっていくのです。
それは兄になるという決意。
「あかちゃん いつくるの ママ?
あかちゃんに あいたいよ」
もう立派なものです。
プレゼントを携えたぼくと、花を抱えたおじいちゃんが病室に向かうシーンで終わるのですが、最高に恰好良いと思いました。
兄になるという揺れる心情を、時の経過とともに描いた素晴らしい作品だと思います。
今回、ヘレン・オクセンバリーが絵を描いたのも、大きくプラスになっていて、大人の鑑賞にも堪えうる作品に昇華しています。
子どもへの読み聞かせだけでなく、ママが読んでも何かを感じることのできる作品としてオススメします。