暖かい上着に毛糸の帽子をかぶった女の子がカマキリを肩に乗せている表紙。冬なのにカマキリ???そう今年の異常気象にピッタリのお話。
普段カマキリたるもの寒い冬には死んでしまうのに今年は暖かいから生き残っていたんだとお父さんに聞いた「私」は図鑑でカマキリの種類を調べて雄か雌かも判明。その日から「かんちゃん」と名付けられ「私」と「かんちゃん」の生活が始まる。カマキリの生態や習性を観察をしながら「私」が日に日に愛情を深まっていく様子についつられてしまいます。虫があまり好きではない6歳の息子も何となく「かんちゃん」と一緒に暮らしているかのように餌をあげたくなったとか言っていました。
最後には生きる物の宿命、死を迎えますが、そこで終わりにならないで新たな命の息吹を残して、暖かい春を待ち遠しく思うラストシーンが特に良かったですね。巻末の作者のことばで実際にカマキリとの日々を過ごしたお話が載っています。きっとそんな経験からカマキリへの愛情が感じられる作品になったのだなぁと思いました。