タイトルの「つきがらす」の意味が分からないまま読んだのですが、
読み終えてやっとその意味を知りました。
見たことがないほど小さく生まれた、わたりがらすの「ちび」。
容姿が小さいというだけで、いじめられるはめに。
小さくて弱々しく感じられたちびでしたが、読み進めるうちに、
なんて大きな心を持ったからすなのだろうと思わずにはいられませんでした。
いじめという境遇の中、それに屈することなく、いつでも本気で
物事に取り組んでいくちびの姿。
「ちびは ほんものの がんばりやの たましいを もっていた」
という一文があるのですが、ちびの頑張りが、いじめていた側の
からすの心さえも変えてしまった瞬間だったのだと思います。
ぎんのはねはきっと、ちびの頑張りをみんなが認めた勲章なのかな。
これは、年取ったわたりがらすのうちの1羽が、過去の思い出話の
1つとして語っている内容で構成されているのですが、他のからすが
ちびのことをすっかり忘れている、というところから始まるんですよね。
最後まで読み終えてから、この初めのページを読むと、なんだか
無性に腹立たしくもありました。いじめる側って、きっとこんな風に
自分がしたことをすぐに忘れてしまうんでしょうね。
いじめられた側は、きっと一生心に残っているだろうに・・・・
これは、イジメを克服した前向きな一冊と見るか、はたまた、
いじめる側の真理をついた一冊と見るか?
きっと読み手次第でいろんな感じ方ができる一冊なんだと思います。
子どもが読んだら、どう感じるのかな?
結構、深いテーマが隠れているように思います。