絵本を読み始める前に、表紙をめくったところに書いてあった山下さ
んのことばにぐっときてしまいました。
「子どもの手紙っていいな。とくに字をおぼえたてのちっちゃい子の
手紙はすばらしい。鉛筆も折れるほど、力いっぱいのびのびと書いて
ある手紙をもらうと、一日じゅう、心にやきいもをだいているみたい
にほかほかする。生まれて初めて出す手紙、生まれて初めてもらった
手紙・・おそらくそれは、魔法にも似た心おどりの世界でしょう。そ
の不思議な魅力を緑の中の赤い郵便箱に象徴させて、この絵本をかき
ました」
山下明生さんは童話作家だから、きっとたくさん子どもからほかほか
するような手紙が届くのだろうな。
緑の中の赤い郵便箱。素敵だった。村上勉さんの絵の力もあるのだろ
うな。村上さんの絵を久しく見ていなくて忘れていたけれど、そうだ
ったそうだった。独特な力のある絵だった。忘れていても、一度見れ
ばすぐに「ああこれは村上さんの絵だな」とわかる絵だった。
私が自分の家を持ったなら、いちじくの木にこんな風にして手作りの
赤い郵便箱をつけたいな。その箱の中にかえるが引越してきたならば、
お手紙を欲しそうにしていたならば、絶対お手紙書いてあげるのにな。
切ないなあ。