なんだか読んだことがあるとずっと思ってきた。
きっと谷川俊太郎さんと和田誠さんがコンビの絵本がたくさんあるせいだろう。
この本だって、そう。
最初はいつもの感じで、「ともだち」の魅力が語られていく。
「ともだちって いっしょに かえりたくなるひと。」とか「ともだちなら たんじょうびを おぼえていよう」といったように。
そして、谷川さんの短い文章に和田さんの素敵な絵があって、それは何ページもつづく。
ところが、途中でトーンが少しずつ変わっていく。
「しかられた ともだちは どんなきもちかな」とか「ないしょばなしを されたら どんなきもとかな」といったように。
そういった変調のあと、「すきなものが ちがっても ともだちは ともだち。」みたいな文章に変わっていく。
そして、最後は和田さんの絵ではなく、障害を持った子や世界のどこかの貧しい国の子の写真に変わる。
その時、この本は初めて読むんだと気がついた。
そして、思った。
この絵本は読者に考えさせる絵本なんだ。
谷川さんはいろんな「ともだち」についてのことを書いてはいるけれど、きっと読んでいる私たち自身が「ともだち」ってどんな人のことなんだろうかとか、いじめをしたりいじわるをしたりすることはどんな気持ちなんだろうかとか、自分たちのまわりだけでなく世界中にいるだろうたくさんの人たちとどうしたら「ともだち」になれるんだろうといったことを、考える絵本なんだ。
だから、きっとこの絵本は「ともだち」と読んだら、いい本にちがいない。