表紙をめくると、ほ乳瓶の絵。
これがあとで、重要な意味をもってくるのですね。
長谷川君を山登りに連れて行けば、
すぐへたって、みんなでおぶうことに。
長谷川くんは鼻水をたらして、目はどこを向いているかわからない。
泣き虫で体が弱くて、だからぼくは、きらいだといいます。
でも、放っておけないんですね。
とんぼを捕ってやったり、野球の仲間に入れてやります。
ところがある日。長谷川くんのお母さんから、
ヒ素という毒の入ったミルクを飲んだから、体がおかしくなったという話を聞きます。
ぼくには、難しくてよくわかりません。
だけど、だんだん心配になってきます。
長谷川くん、泣かんときな。もっと、太りな。
だいじょうぶ。長谷川くん。
一緒にいると、しんどい、大きらいと言いながら、
長谷川くんを何とかしてやりたい。
そんなぼくの気持ちが伝わってきます。
誰もが長谷川くんと同じ目にあっていたかもしれません。
人生、どんな災難が降りかかってくるか、わかりません。
けれど、弱者に対して、
ぼくのように、正直しんどい時もあるけれど、
温かい気持ちで接していきたい。いかなければ、
そんなことを感じさせてくれる作品でした。