はじめにこの絵本を目にしたとき、好きじゃないと思った。
タイトルはマイナスなイメージだし、画法も独特で色も赤と黒と白しかない。とうてい面白そうだとは思えなかった。
内容はどうだろう。読み始めてすぐ引っ掛かりを覚える。どうも「はせがわくん」は弱虫で体の弱い子のようだ。しかし実際はそんな簡単なものではなかった。「はせがわくん」はヒ素ミルクを飲んで後遺症をもってしまっていたのだ。
そんな「はせがわくん」のそばには、主人公の「ぼく」がいる。「ぼく」は面倒見のいい子で文句を言いつつ「はせがわくん」と一緒に遊んであげたり、背負ってあげたりする。そして、毎回はせがわくんきらいやと思う。
ある日「ぼく」は「はせがわくん」のお母さんにヒ素ミルクの事を聞く。でもそれからの「ぼく」は何も変わらない。「ぼく」にとって「はせがわくん」は結局「はせがわくん」なのだ。
目の前にいる人が障害児だとわかったとき人はその人をどう見るだろう。必要以上にやさしく接し、細かく世話をするだろうか。それとも遠巻きに見てしまうだろうか。前者は必要だろうし、後者は仕方がないのかもしれない。
でも人間は人とかかわりをもって生きていくものだ。きらいだとも言い、一緒に遊びもする「ぼく」は自分と他者に線引きをせず接することができる。この絵本は人とのかかわり方を考えさせてくれる。