全盲の女性、ルミさんの感動の出産と、そのたくましい育児にふれて、命について考えさせられます。
ひょんなことから、お隣に住むルミさんの出産に立ち会うことになってしまった小学生のエリちゃんの目を通して、話は進みます。だから、小学生の読み聞かせに、すごくいいと思いました。小1の娘も、まるで自分が出産に立ち会ってしまったように、真剣に聞き入り、無事に元気な赤ちゃんが誕生した場面では、絵本の中のエリさんと共に感動を分かち合うがのごとく、ほっとした後、満面の笑顔になりました。私もご多聞にもれず、感動で目頭が熱くなってしまいました。
赤ちゃん誕生ものの、絵本を今までに何冊も読みましたが、この絵本が一番感激しました。
そして、大変なその育児にも、興味深いものがあります。何しろ、目が見えないお母さんの育児です。その苦労は、察するにあまりあるのですが、ルミさんは、とても精神的に逞しく、関心してしまいます。赤ちゃんのうんちを当たり前のように触って確認し、ちっとも汚いものという意識がないところに、愛情の深さを感じました。
そして、何と言っても、エリちゃんが、こんなかわいい赤ちゃん、ルミさんにも見えればいいのに、と思わず口走った時に、
「いのちは見えるよ」
と答えたルミさんの言葉が、読後も耳に、そして胸に残って離れませんでした。
こんな素敵な女性、ルミさんに命の授業を受けたエリちゃんのクラスの皆が、とっても羨ましいです。お母さんの愛情や、育児の大変さ、そして何よりも、かわいいかわいい赤ちゃんを抱かせてもらって命を感じることが出来たのです。
このクラスの子供たちの中からは、間違っても将来人殺しをするような人間はいないことでしょう。