優しさのあふれる、素敵な絵本でした。「ケーキ」と名づけられたどんぐりは、コウくんといつも一緒。かけっこしたり飛ばしっこしたり。雨の降る日は一緒にお散歩。プールにだって一緒に入ります。でもある秋の日、ケーキはコウくんのかばんの中からこぼれ落ちてしまいます。「コウくん、ぼくはここです。ここにいます。」ケーキは必死でコウくんに呼びかけるけれど、コウくんはなかなかケーキも見つけられません。そして…月日は流れます。冬が過ぎ、また春はやってきて、何年かが過ぎていきます。大きくなるコウ君を見守るケーキも少しずつ成長し、大きなどんぐりの木になりました。そしてそこに、懐かしいコウくんの足音が近づいてきます。
コウくんはケーキのことを忘れてはいませんでした。二人の心が通い合った瞬間をぜひ絵本で読んでみて下さい。
ケーキの楽しい気持ち、悲しい気持ち、嬉しい気持ちが手にとるように伝わってくる、文章がとてもいいです。