見返しをめくると、「エミリー」という題名だけが書かれた表紙があり、もう1ページめくると、そこには、白いドレスを着た女性が、玄関の白い扉を開け、新緑がまぶしい外へと歩き出そうとしているところが描かれています。
そして、絵本の最後のページには、扉が開け放たれた玄関だけが描かれ、白いドレスの女性の姿はありません。
これは、白いドレスを着た女性の心境の変化を表したものでしょう。
なぜ2ページが違う絵になったかが、主人公の少女の目を通して、彼女のドキドキする気もちを私たちも感じながら、まるで謎解きのようにこの絵本の中で描かれています。
とても難解な絵本のように感じられますが、美しい絵と全体が醸しだす不思議な雰囲気は、小学校高学年であるならば十分理解できるような気がします。
見れば見るほど、読めば読むほど味わいが深くなる一冊です。あきらめずに読んでみて下さい。