ホスピスでベッドに横たわるおじいちゃん。
ぼくが行くと必ず「むかしの自分」の話をしてくれる。
バスに轢かれそうになったり 深い池に落ちちゃったり
いろんな危ない目にあったけれど 助かってきた。
単なる幸運ではない。
わしは ずっと何かに守られてきた
とおじいちゃんは言うのです。
ちょっと不思議だけど温かい“誰か”の存在。
それは“天使”だった。
何者かに守られているのを感じていて 怖いものはなかったというおじいちゃん。
そういう感情って時には怖いこともあるけれど
自分は運がいいと常に感じていることは とっても前向きでステキな考え。
そして“誰か”に守られている安心感をもてることは幸せなことですよね。
実はおじいちゃんはナチスドイツの時代、戦火の中を生き抜いてきた人だった。
お友達がいつのまにか姿を消していた(実はユダヤ人だったため迫害を受けた)とか
人が声高に叫んでいるのをよく見るとそれは軍人でナチスの腕章をしていたり
サラリと描かれているので 絵本自体に重々しい印象はないけれど
このさりげなさが逆に切ない感情を揺り起こすというか・・・
ぎゅーーっと胸を締め付けられます。
少年との対話を最後に天に召されるおじいちゃん。
その傍らには例の天使が!その天使が次にしたことは・・・・
ほっこり温かく感じられるラストをご堪能くださいね。
最後に書かれている解説を読むとさらにホロコーストへの作者の怒りと悲しみが感じられました。
映画館でボロボロに泣いてしまった【シンドラーのリスト】を思い出しました。