とにかく石井桃子さんの訳が素晴らしいと思います。なんと言葉のあたりの柔らかいこと。読んでいる私も、聞いている子どもも微笑ましい気分になってしまいます。
実家にあるのは、私達三姉妹が散々読んでぼろぼろにしてしまった本ですが、母が「小さくて薄いのにこんなに高い本、全然買うつもりなかったのに、あなたが抱えたまま座り込んで動かなかったので、仕方なく買ったのよ。でも、充分過ぎるくらい元はとったわ。」というものです。私達三姉妹は、なしが出てくると「さやえんどうにおいしいなし。なしは体にいいのです。」などど言いながら育ちました。ことばがそのまま体に染み付いたという感じです。
お話は、仲の良い二匹のうさぎのところにかわいい赤ちゃんが生まれたよ、という簡単なものですが、うさこちゃんが生まれるのをとっても皆が楽しみにしていて、そして生まれた時は皆が「あなたに会えるのを待っていたんだよ。」と感じているのがひしひしと伝わってくるのです。
私も子どももうさこちゃんをファーストブックに成長しましたし、娘の子どもにもいつか親しんで欲しいなと思う大切な絵本です。