「ぐりとぐら」をもって幼稚園や小学校に読み聞かせに行くと、必ずといっていいほど「そのお話知ってる〜!」「ぼくも!」「わたしも!」の大合唱になります。「おっきなたまごをみつけるんだよね」「カステラを焼くんでしょ」「みんなで食べるんだよ」「たまごのカラを車にしちゃうんだよ」と、ストーリーも全部わかっています。
それなのに、読み始めると皆あっという間にその世界に引き込まれて、大きなおなべのふたを開けて黄色い美味しそうなカステラが顔を出す頁では、わぁっと溜息にも似た声がもれます。小さい子達だと絵本に手を伸ばして、おなべの中のカステラを自分の口に運んでニコニコしている子も。すっかり森の動物たちの仲間になって、ぐりとぐらのごちそうを楽しんでいるようです。
展開はすっかりわかっているのに、読むたびふわりとその世界に飛んでいって、主人公たちと一緒に何度でも楽しむことができる、それが「ぐりとぐら」のような、ロングセラーといわれる絵本の素晴らしさじゃないかなと思います。