「ひろすけ童話」として,教科書にも載った事がある有名なお話です。もちろん,私も子供の頃読みましたが,青鬼の友情に感動したというよりも,何かやりきれない辛い気持ちになった事を覚えています。
赤鬼は,人間たちの仲間になって仲良く暮らしたいと思いますが,人間は赤鬼の事を恐れて,逃げてしまいます。それを見ていた青鬼が自分が犠牲になる事で,赤鬼を人間に信用させようとします。
最後に青鬼が赤鬼に宛てた手紙が,心を打ちます。それと同時に,みんなと仲良くなりたいだけなのに,何故こんな代償を払わなければならないのか?その疑問を,子供の頃強く感じたのではないかと思います。
大人になれば,どうしても変えられない現実も知る事になります。このお話では,その現実を受け入れながら,それでも絶望する事なく,自分が犠牲になる事で,他人を生かすという青鬼の強い意志(無償の愛)が描かれているのではないのかと感じました。
大人になって,このお話を読み返してみても,やはり本当に青鬼が取った行動が正しかったのか,分かりません。しかし,時代が変わってもこのお話が人々に強い感動を与えるのは,単なる友情だけではない青鬼の強い意志が,読む人の心を打つのではないのかと感じました。