夜空に浮かぶまんまるでにこにこのおつきさまがとてもやさしく美しく描かれています。
真っ暗な空が少しずつ明るくなりはじめ、おつきさまが少しずつ顔を出すと、子どもたちもにこにこになります。そして「こんばんは」と言うと、一緒になって何回もおじぎをしています。裏表紙にもにこにこ反応しています。
お話も絵もとってもシンプルですが、ディテールが凝っています。タイトルが書かれてあるページとその前のページの下に猫が1匹ずつ、お話が始まると猫は2匹一緒に家の屋根にのぼり始め、雲がおつきさまを隠すところでは毛を逆立てて怒っているかのよう。最後におつきさまが満面の笑みになると2匹の猫もよりそい、おかあさんに手をひかれた子どもも登場します。とってもシンプルな絵なのに、この部分でもまた別のお話がつくれそうですね。あと私は、おつきさまのまわりの明るい夜空の色がたまらなく好きです。赤ちゃん絵本ですが、大人も十分楽しめる芸術作品ともいえると思います。