ニルスおじいちゃんにとって、晩年の充実した日々となったベッラとの時間。
にわか仕立ての孫と祖父の組み合わせ。
お互いを求める心が、わずかの間に二人の優しい心を触れ合わせ、素敵な時間を作って行きます。
こどもは、やはりしなやかな存在です。
相手に対する先入観を持たずなんの抵抗もなく懐に飛び込んでいける。
この“素”がニルスおじいちゃんを、この「ごっこ」へと引き込めたのかもしれません。
サクランボの木の上でのシーンは、その情景が目に浮かび、なんて可愛くて楽しい悪戯だろうと思いました。
直伝の口笛は、きっとニルスおじいちゃんに届いたと思います。
この時間は、ベッラがもらったものもたくさんあると思います。
心を込めて、人のために努力すること。
人の立場に立って、考えること。
そして、なによりも、「人の死」と出会ったこと。
これからの人生で、“時間“を大切にし、そしてさらに優しさや思いやりが、育まれていくと思います。
読後、表紙絵を見直し、ネクタイの足つきの凧があがっている絵を見て、再びグッと来ました。